谷口薫税理士事務所 会計税務顧問契約 顧客事例 - 有限会社飛永製作所
飛永製作所は、2008年、会社経営の世代交代を機に顧問税理士を変更しました。谷口薫税理士事務所と顧問契約を結んだ経緯・理由と、関与状況、今後のビジョンなどを、飛永社長に伺いました。
(有限会社飛永製作所について)
旋盤・フライス・マシニング・研磨技術により、主に空気を動力とする省力化機器・振動制御機器など、産業精密機械の部品を加工している。10個取り、20個取りのオリジナル治具を作り、段取り替えの回数を少なくして、1人で複数の機械を運転できる環境を作り、加工のスピードアップを図っている。加工方法に工夫を凝らすことで材料を有効活用しコストダウンを図るなど、独自のアイデア、技術が光る。加えて、構成部品点数の削減、部品の共通化、部品形状変更を予測した治具製作など、リピート品の製作に強みを発揮する。創業;1960年、本社;京都市、社員数6名。
- 会計処理ソフトの活用と月次決算で財務状況をリアルタイムに把握
- 会計データは戦略情報として有効活用が可能
- ランチェスター法則への関心と価値観の一致から関与を依頼
- 以前は財務状況を把握できるのが2か月先だった
- 懇切丁寧な初期指導で引き継ぎもスムーズに完了
- 目先の利益に捉われない経営視点からのアドバイスで黒字化へ
- 自社の強みを明確にし、自社に合った営業戦略を
会計処理ソフトの活用と月次決算で財務状況をリアルタイムに把握
― 御社は谷口薫税理士事務所とどのような契約を結んでおられるのですか。

上;16個取りの治具でスピードアップ
下;加工後の製品。沢山開いた穴を
圧縮空気が通ることで機械を動かす
月次巡回監査は、毎月10日前後に、担当者の谷口先生に弊社を訪問していただきます。弊社ではそれまでの間に、会計処理ソフトに会計データを入力しておきます。そして、そのデータをもとに月次決算を行い、次月度以降に向けてのアドバイスなどを頂いています。
― 会計処理ソフトはどのようなものをお使いですか。
契約の際に、谷口先生が推奨する会計処理ソフトを導入し、使っています。会計事務所向け情報サービスを専門に行うシステム開発会社が開発・提供しているソフトです。これを使うことで会計処理が正確に出来る上、財務状況がリアルタイムに把握出来ます。また、月次決算データをもとにソフトの開発会社のデータセンターから、全国の同業種・同規模の企業の中で自社がどのようなポジションにあるかを示すデータなども送られて来ます。このソフトを導入し、財務状況をリアルタイムに把握できることで、様々なメリットが生まれています。
会計データは戦略情報として有効活用が可能
― 財務状況がリアルタイムに把握できることで、具体的にはどのようなメリットがありましたか。

「経営者としてまっさらな時に谷口先生と
出合えて良かった」
(代表取締役 飛永敏博氏)
契約時に、会計データは戦略情報として有効に活用することが可能だ、と谷口先生に教えられました。だから、もっと攻めの戦略に活用したいと考えているのですが、リーマンショック以降の2009年、2010年の2期は、専ら会社を守るための戦略に活用していました。
― というと、どういうことでしょうか。
まず経緯をお話しします。2008年1月時点で、弊社の代表取締役は現会長である私の父が務めていました。私が代表取締役を引き継いだのは、同年4月です。
引き継いだ初年度9月の決算は好調のまま迎えることが出来ました。しかし、ちょうどその時期に、リーマンブラザーズが破たんしました。その影響は年明け以降に押し寄せてきて、急激に景気が悪化し取引先も急ブレーキがかかり、当然弊社にもその影響は及びました。
ただ、そのような状況であっても、財務状況がリアルタイムに把握出来たために、最悪な事態に至る前に、会社にお金を残す対策を打つことが出来ました。
毎月会計データを締める度に、これからどんどん悪くなっていくということが手に取るように見え、取引先がストップすると、何も買わなくてもどんどんお金がなくなっていくということが怖いほどわかりました。
― その時期は、谷口先生とはどのようなお話しをしていましたか
2009年は、なってしまったものはどうしようもないので、いかに切り詰めるかという話ですね。それしか打つ手はありません。2010年は売上が低い中で、どうやって利益を出していくかということに注力しました。弊社の意向としては、世間が厳しいなりに、何とか自社で利益を出して、少しでも余裕を持っていきたいと考えていました。そこで、私と会長で計画を立て、谷口先生にチェックをしていただく、そしてそれを実行する、という作業を行いました。
そのような状況が2期続きましたが、今年は上向きになって黒字決算で終えることが出来ましたので、今後は、攻めの戦略を立てて行きたいと考えています。
ランチェスター法則への関心と価値観の一致から関与を依頼
― 谷口薫税理士事務所と会計税務顧問契約を結んだきっかけを教えてください。

「これからは強みを明確にして 独自の戦略を立てたいです」
(左;飛永氏、右;谷口税理士)
顧問を谷口先生に依頼した理由は、具体的な数字を交えたランチェスター法則の話がわかりやすく興味を覚えたことと、谷口先生自身もその勉強会に所属するメンバーで価値観を共有することが出来ると感じたからです。
(1)ランチェスター法則への興味
ランチェスター法則について特に興味を覚えたのは、経営者が考えるべきは戦術ではなくて戦略である、という考えです。経営上の戦略策定ということを、初めて意識するようになりました。
セミナーでうかがった法則を自社の経営に置き換えてみると、納得できることが多かったのです。例えば、川を境に商圏が分れるという法則は、ある一定の地域に商圏を絞ると利益効率が高まるということにつながりますが、弊社に置き換えてみると、会社を出て帰ってくるまで1時間で納品が完了する取引先が圧倒的に多かったのです。過去には、その範囲のエリアから外れている取引先には、取引をやめた例がありました。
(2)価値観の共有
お金や経営の相談をする相手として、価値観が共有できる方なら、安心してお任せできます。金銭や時間の感覚が違う方とは長期的な関係は維持できません。
谷口先生と出会った勉強会は、同世代の経営者が集まり、三方良しの理念など尊徳の勉強をする場です。そういうところに参加する方であれば、私と価値観が大きく違うことはないという安心感と信頼感がありました。実際に、セミナーのお話しや、会話を交わす中でも信頼できる方だと感じました。
以上の2点に加え、それまで長年顧問契約を結んできた税理士が高齢化してきたという背景もあり、関与を依頼しようと考えました。
以前は財務状況を把握できるのが2か月先だった
― 当時の会計処理はどうされていましたか。
手作業で仕訳までして、領収書などと一緒に、当時契約を結んでいた税理士のところに持って行っていました。それを転記して計算していただくというやり方です。
各月の財務状況が分るのは2か月後という状況で、ボーナス月や決算月の予測も出来ませんでした。また、全て手作業なので数字の転記ミスなどがあり、決算申告の際には修正も少なくありませんでした。
当時、こちら側の仕訳までの作業は、私の母が手書きで行っていました。それを社長交代のタイミングで、私の妻に引き継ぐことになりました。その際、旧来のやり方は効率が悪いので変えた方が良いと、私と妻の意見は一致しました。そのやり方を変えて行くためには、税理士さんを代える必要がありました。私は代えるなら谷口先生にお願いしたいと思っていました。
正式に依頼するために谷口薫税理士事務所のオフィスにうかがった際に、会計処理ソフトと給与計算のデモを見せていただき、このソフトを導入すれば便利になると感じました。
懇切丁寧な初期指導で引き継ぎもスムーズに完了
― 推奨された会計処理ソフトの導入に抵抗はありませんでしたか。
抵抗はありませんでした。デモを見た際には便利になると感じましたし、予め初期指導(ソフトの操作を含む経理指導)のスケジュールもいただいたので、不安はありませんでした。いずれにしても、旧来のやり方を継続するつもりはありませんでした。
― 初期指導というのはどのようなことをしたのですか。

飛永製作所工場内の風景
●経理実務の流れ
●書類の整理保存の実務
●勘定科目の内訳の把握
●給与人事管理の実務
●月末整理の実務
●月末締めの作業
この中で「経理実務の流れ」は会計処理ソフトを使った記帳、支払い報告書の作成、旅費精算書作成など日々の経理実務に関する指導です。 母から経理を引き継いだ私の妻は、当初、会計の知識は全くありませんでした。毎回3時間ぐらいかけて懇切丁寧に教えていただいたことで、引き継ぎはスムーズに行きました。
今でも困ったことがあると、妻から谷口先生の事務所へ連絡をする機会があります。その際にも、谷口先生はじめ事務所スタッフの方にも、懇切丁寧かつ迅速に対応していただけるので大変助かっています。
目先の利益に捉われない経営視点からのアドバイスで黒字化へ
― 社長就任から4期目、黒字に転換したとのことでしたが、何らかの戦略を実行した成果と考えてよろしいですか。
いえ、2011年9月決算時の黒字転換は、別の要因によるものです。2010年9月の決算を締めた後、業績が上向きになった段階で、谷口先生からアドバイスをいただき、それを実行したことが結果に出ました。
具体的には、利益に応じてきちんと納税して、会社にお金を残しましょうというアドバイスです。それまで2年に渡って切り詰めて行く中で、役員報酬なども減らして来ました。その分、利益が出たら役員賞与として取って良いという考え方もありますが、今年はお金を残すべき時期なので、役員報酬を取らず、また利益に応じてきちんと納税し、残ったお金を、次に投資すべき時に使いましょう、というものでした。
― お金を残すために節税対策をしようという税理士もいますが、その考えとは反対ですね。
正直に納税したら損したような気分になるのかも知れませんが、一般に節税対策と言った場合、結局は不要な投資をしてお金を失っている場合の方が多いのではないでしょうか。余計なものを買わずに納税する分はきちんと納めた方が、結果としてお金は残ります。経営者はそこに気付かなければいけない。谷口先生のアドバイスから、そう教わりました。
谷口薫税理士事務所に会計税務顧問をお願いして一番良かったのは、谷口先生の経営視点が目先の利益に捉われていないということです。役員報酬についての考え方も、2年間我慢したのだから、利益が出たらもらっておけば良いという税理士さんもいるでしょう。でも、会社経営は長期的なビジョンに立って考えなければいけません。利益が出たからといってその分を役員報酬に回したら、次年度以降の投資に使えるお金は残らなかったでしょう。
自社の強みを明確にし、自社に合った営業戦略を
― 今後のビジョンと谷口薫税理士事務所への期待をお話し下さい。
中期的なビジョンとしては、谷口先生からもアドバイスをいただき、3年サイクルで考えています。1年目は売上を上げてお金を残す年、2年目は様子を見る年、3年目は投資をする年、そしてその次の年は再び回収してお金を残す年…というサイクルです。
そのサイクルの中で考えると、2011年度は黒字化への転換によるリセットの時期で、2012年度がスタートの年です。自社の強みを分析して、一点突破の戦略を立てて行きたいと思っています。
弊社はモノづくりの中でも、根っこの部分を支える立場で長年営業を続けて来ました。今後もその足元を見失うことなく、スピードとコストダウンにこだわり、長期に渡って支援出来るお客様を増やしていきたいと考えています。
その中で谷口先生には、これまで通り会計税務顧問をお願いし続け、それに加えて、ランチェスター法則を活かした経営のコンサルティングもお願いしたいと考えています。それによって飛永製作所を強い会社に育てて行きたいと考えています。

飛永製作所様、お忙しい中、有り難うございました。※右は当社谷口税理士
有限会社飛永製作所のWebサイト